そうだ、歯医者に行こう

歯の治療にまつわることを、詳しく解説していきます

第7話 かかりつけの歯医者で、これ、見たことありますか?

こんばんは、歯科医師のイブスキです。

10月に入ったのに、まだまだ東京は暑いですね。

 

先日久々に、家族でディズニーランドに行ってきました。たぶん、1年以上ぶり?すっかりハロウィン仕様になっていました。これから新しいアトラクションができるとかで、工事中でしたねー。

 

どのエリアか忘れましたが、歩いていると、こんな建物が。

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よく見ると、

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Painless Dentist Dr.I. Teeth

 

私、こういう歯科と関係ない場所で、不意に置いてある歯科の看板にすぐ気付くタイプなのですが、自分のイニシャルがI.Tなので、なんだか自分のことみたいでとても気に入りました(笑)

ということで、「無痛治療の歯科医師 ドクターイブスキ」を目指して頑張ろうと思います^ ^

 

前置きが長くなりましたが(笑)、本題に入ります(*^^*)

 

「かかりつけの歯医者で、これ、見たことありますか?」と、ある種の挑戦状のようなタイトルを付けましたが、今日のテーマは、虫歯治療の精度を圧倒的に上げる、マル秘アイテムについてです。

 

そんなマル秘アイテムとは、ずばり「ラバーダム」です。

なにそれ?全然分からないんですけど!

 

まあそうなりますよね(笑)

 

また、専門的な話になりそうですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

はい、では今日も始まりますよー。

虫歯治療の精度を上げる「ラバーダム」について

ラバーダムとは

一言でいうと、ゴムでできたシートです。

ラテックスでできていますが、ゴムアレルギーの方もいるので、ノンラテックスタイプもあります。いろんなメーカーから出ていますけど、写真でお見せすると、こんな感じ。

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こんだけ勿体ぶって、、ただのゴム?時間返せー( ゚Д゚)

まあ、そうおっしゃらずに(^^;)

ラバーダムは、ただのゴムではないんです。私の中では特別なアイテムです。

 

ちなみに、こんな感じで使います。

たとえば、この歯の模型の矢印の位置に付けるとすれば、

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こんな感じになります。

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 視覚的なイメージをお見せしたところで、私の特別アイテム「ラバーダム」ですが、では、どういった目的で使われるものなのでしょうか?解説していきます^^

ラバーダムの目的

ずばり、「治療する歯に、口の中の余計な唾液や湿気が混入しないよう、ブロックすること」です。

 

ご存知の通り、口の中って唾液が出ていて、汚れもあって、細菌の多い環境です。

便器より細菌が多いのは有名な話かもしれません。1gの歯垢の中に、数億の口腔内細菌が存在すると言われています。

 

それが、これから治療する歯に付着したらどうでしょう、、、

なんか精度が落ちそうじゃないですか?

 

ラバーダムを装着することで、歯の治療をするときに、唾液や細菌、湿気が侵入するのを防ぐことが可能になります。

 

では、具体的には、どういうときに使うものでしょうか?

どういうときに使うものか

大きく分けて2パターンです。

①歯の根の治療(根管治療)を行うとき

たとえば、銀歯の中で虫歯が神経まで進んでいた方の歯です。

銀歯を外した時の写真がこちら。(お食事中の方、ごめんなさい)

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進んでしまってますねー。これから神経の治療が始まるのですが、ここで感染を増やすと、治療の成功率はガクッと下がります。なので、このようにラバーダムシートを装着することで、細菌の侵入や、唾液の混入を防ぎます。

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以上が神経の治療の時の例です。 

②セラミックなどを歯に接着させるとき

歯医者の中で、ラバーダムユーザーはかなり少数派なんですが、その大半の用途は①ではないかと思います。

その中でも②までやる人は、私を含め、結構マニアの部類ではないかと思います。

念のためお見せすると、こんな感じ。

次の写真は、虫歯を除去して、下準備を完了した歯です。

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ここにセラミックを接着したのが以下です。

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接着というのは「防湿」が命です。口腔内は湿度がかなり高く、接着にとってかなり不利な環境です。

接着は煩雑で、ドクターの中でも好き嫌いが分かれる分野なのですが、このようにラバーダムをセッティングした上で、適切に処理すれば、かなりしっかりくっつけることが可能です。

*ただし、歯の残り具合によっては、装着できないケースもあります。その場合は代替アイテムで対応します。

 

以上が、パターン②のイメージです。

ラバーダムのメリットは?

メリットはずばり、感染防止と防湿です。歯の治療にとって大きなマイナス因子を2つも排除できます。あとは、虫歯の治療で詰め物をセットするようなときに、口の中に落として誤飲させる危険もなくなります。

ラバーダムのデメリットは?

窮屈な感じと、ずっと口を開けておかないといけないことですね。

その間に唾液が溜まってくるので、基本的に唾液を吸う管も設置します。

お口を開けるのがつらい方は、適宜治療時間を調整したり、プラスチックのブロックを噛んでもらって、物理的に閉じないようにすることで少し楽な状態にします。

なんでラバーダムを使う歯医者は少ないの?

欠点より利点が圧倒的に多いラバーダムなのですが、全国的に見れば、使用しているドクターはかなり少数派だと思います。

考えられる理由はいくつかありますが、ドクター目線では以下だと思われます。

①保険で使用すると自腹なので、根の治療のように点数(報酬)の低い治療で使うと赤字

②慣れていないと操作が難しく、時間が取られる

③慣れていないと、装着するときの器具(クランプ)が痛がられる

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*クランプは、歯に装着している金属器具です

④使用のメリットが十分伝わっていないと、患者さんからクレームをいただくリスク

⑤ただ単にめんどくさい

 

恐らく、使わないより使った方がいいと思われているアイテムですが、上記のような理由で敬遠されているんですね。残念。

ラバーダムを使うことが難しい人は?

これは私の経験を踏まえた話ですが、極度な歯科恐怖症の方精神疾患(鬱やパニック障害など)を抱えていらっしゃる方は、装着で具合が悪くなる傾向があるので、、避けた方が無難だと思われます。(なので、無理強いはしておりません)

また、鼻が詰まって口でしか呼吸できない方や、顎関節に問題があって、長時間の開口がしんどい方適応外です。

そういったケースでは、度合いによっては、残念ですが妥協的な部分が出てもやむを得ないと感じています。

 

以上より、まとめです。

まとめ

感染予防、防湿のために、ラバーダムは最重要アイテムです。

状況により、適応ではないこともありますが、基本姿勢として、ラバーダムを使用する先生は悪い先生ではないと思います。

治療がうまくいくかどうかを評価するうえで、そのドクターがちゃんと治療の要点を知識的・技術的に抑えているかが最重要ですが、その治療の精度を上げるという点では、ラバーダムもかなり重要だと考えます。

 

ラバーダムを使っているからうまい先生、名医とは言いませんが、うまい先生や名医はラバーダムを使用している割合が高いと推測します。

 

保険治療でラバーダムを使ってくれる先生は、自腹を切ってでもしっかり治したいという意気込みがあり、少なくとも良心的であるということだけ知っていただけると嬉しいです。

 

ということで本日はラバーダムについてでした(*^^*)